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ミッション

腎疾患に対する様々なソリューションを研究開発し、腎疾患に苦しむ患者さんのQOLの改善により社会に貢献する

腎臓は一度壊れると修復ができない臓器とされており、腎移植を除いて根治的な治療法はいまだ存在しない。創設者である長船は研究の傍ら腎臓内科医として多くの腎臓病患者と接し、患者の抱える苦しみやストレスを日々見つめてきた。透析患者は、週2, 3回、1回4時間程度の透析を生涯受け続けなければならない。太い針を刺し、長時間透析を続けるストレスは並大抵のものではない。また透析患者は多くの合併症のリスクを抱えながら日々を送っている。なんとか腎疾患を軽減もしくは治癒できる治療法はないものか、自問自答を繰り返した長船が出した結論は再生医療によるソリューションであった。腎疾患に苦しむ患者さんの生活の質(QOL)を改善し社会に貢献することこそが、われわれリジェネフロの使命(Mission)であることは言うまでもない。

本邦において慢性腎臓病(CKD)の患者数は1,300万人以上、成人の7人に1人の高頻度と推計され「新たな国民病」と呼ばれている。CKDに対する有効な治療法は少なく、その進行によって透析療法を必要とする末期慢性腎不全患者は33万人以上となり、毎年約1万人ずつ増加している。毎年約4万人の新規透析患者が発生する一方、唯一の根治的療法である腎移植も年間1,700例程度に留まり、深刻なドナー不足の問題が依然として存在している。患者のQOLが著しく低下することが最も深刻な問題であるが、その医学的問題に加え透析医療費は年間1兆5,000億円を超え、全医療費の約5%を占めるに至っている。社会の高齢化もあいまって、今後も増加し続けることが予想され、その解決策の開発が急務となっている。腎疾患の問題の解決に向けて、再生医療の開発が期待されており、間葉系幹細胞や造血幹細胞、自家および他家腎細胞などを用いた急性腎障害(AKI)やCKDに対する細胞療法の臨床試験が世界的に多く実施されているが、現在までのところ治療効果を認めた成功例はない。よって、腎疾患に対する再生医療に適した治療効果および安全性を有する細胞種、その治療効果の機序解明に基づく適応腎疾患の決定と投与経路を含めた移植方法は未確立である。

創設者である長船らのグループは、ヒトiPS細胞から胎児期の腎前駆細胞であるネフロン前駆細胞を分化誘導する方法を開発し、虚血再灌流によるAKIモデルマウスの腎被膜下へ移植することによって、検査および組織学的にもAKIの腎障害を軽減する治療効果があることを初めて見出した。その後、独自のヒトiPS細胞から80%以上の高効率でネフロン前駆細胞を作製する新分化誘導法、細胞表面抗原に対する抗体を用いたネフロン前駆細胞の単離法を開発した。また、新誘導法で作製されたヒトiPS細胞由来のネフロン前駆細胞を薬剤性AKIモデルマウスの腎被膜下に移植することによってAKIの軽減と生存率が改善し、さらにCKDモデルマウスに対しても治療効果の検証を行っている。

現在、長船らはリジェネフロ社に上記技術シーズを移転し、CKDの進行抑制によって透析患者発生を抑制し、腎疾患患者のQOL向上と透析医療費の削減を図るヒトiPS細胞を用いた腎疾患に対する新規の再生医療の実現を目指している。